感謝の気持ちがあふれる井の頭de落語会でした。



 涼しくなりましたねぇ。吉祥寺駅から南へ。朝の井の頭公園は気持ちが良いです。

 
 私たち高永荘で過ごした噺家のホームグラウンド。


 井の頭de落語会へ伺いました!!


 今日は花いち兄さんがお休みです。志ん松兄さんとの二人会。


 ご来場のお客さま、ありがとうございました!!






 まずは板付きで志ん松兄さん登場。

 
 お客様に真打昇進が決まったことをご報告。


 万雷の拍手!👏👏👏


 花いち兄さんの勉強会としてスタートしました。前座のころから私たちをみてくださっている応援してくださっている落語会。私も嬉しくなります。志ん松兄さんおめでとうございます。


 
 狸札     遊京
 厩火事    志ん松
 唐茄子屋政談 遊京



 興行が化ける、お金が入る、狸札は縁起のよいネタといわれておりまして披露目などでもよくかかります。お祝いというのはおこがましいのですが、久しぶりに思い出してかけました。今年初狸札。

 
 兄さんは厩火事をかけて飛び出し。


 夕方に落語協会からも発表されましたが、実は志ん橋師匠が今朝がたお亡くなりになられました。


 お客様には微塵もそんな様子を感じさせなかったところが芸人らしいです。



 志ん松兄さんは前座のころに一度脱走したことがありました。


 朝、私が師匠のところにいきますと、「きょう介がいなくなったらしい。同じところだろ?これから志ん橋兄さんと一緒に行くように。」


 同じアパートに住んでいた私は、急遽志ん橋師匠ご夫妻と井の頭線で三鷹台まで戻りました。緊張しました。


 「あいつはなぁ、喧嘩かなんか巻き込まれたんじゃないかと思うんだよぉ。」


 志ん橋師匠はものすごく心配されていました。


 うちに着いて、いくら部屋の戸をたたいても兄さんは出てきません。


 悪い方に考えてしまうといいますか、最悪の可能性も考慮しまして、大家さんにマスターキーをお借りしました。


 恐る恐る戸を開けます。


 そこに兄さんの姿はなく、安堵しました。


 ビールの空き缶がたくさん転がる、汚い部屋。


 それを師匠ご夫妻にただお見せするかたちになりました。


 帰りの電車は行きの緊張感からは解放されまして、紫陽花がきれいね、井の頭線は季節ごとの景色が好きなのよとお話を伺いながらもどりました。


 兄さんがまた復帰できたときは前座仲間みんなで喜びました。


 志ん橋師匠には二ツ目に上がってから稽古をつけていただきまして、たくさんのネタをいただきました。

 
 初めて教えていただいた出来心は目白の小さん師匠直伝で、目線について、上下の降り方、はっきり喋ることの大切さ、ほかにも扇子の置き方など噺の基本を叩き込んでくださいました。


 あげの稽古は3時間以上。


 お宅の畳の部屋でやっているのを向かいのテーブルで聴いてくださっている志ん橋師匠。うまくいかないと、あ~!もう!と言ってそばまで寄ってきて正座で膝を突き合わせて教えてくださいます。うまくいっているときはいいぞ!いいぞ!と応援してくださいます。


 こんなペーペーの若手にこれほどの師匠が丁寧に教えてくださることに感激しました。


 しばらくしてまたうかがうと、やはり話の基本がおろそかになっていまして、改めてご指摘いただきました。


 終わったあとは近くの喫茶店でごちそうになりました。師匠はポークジンジャーがお好きで、コーヒーを飲みながらおかみさんと志ん生師匠や志ん朝師匠の思い出などもたくさん話してくださいました。首提灯を志ん朝師匠に習ったことがきっかけで完全な坊主頭にしたというレアな情報も伺いました。


 私の初高座は鈴本演芸場なのですが、そのときのトリも志ん橋師匠でした。

 
 今はお店はもうないのですが、渋谷までもどってきて駅近くの中華でごちそうになりました。


 居酒屋、掛け取り、熊の皮、だくだく、位牌屋。。。まだまだ習いたかった噺があります!


 出来心、首提灯、転宅、唐茄子屋政談。たくさんいい噺を頂戴しました。私の間とか口調のどこかに志ん橋師匠がいらっしゃいます。大切にかけてまいります。本当にありがとうございました。



 志ん松兄さんの披露目も全力でお手伝いいたします!!


 
 井の頭de落語会は私が真打ちに上がると残念ながら終わってしまうのです。あと何回でしょうか。次回は花いち兄さんと三人でできるとよいですね。ご来場お待ちしております!